後世に伝えたい 埼玉「桶川飛行学校平和祈念館」にマイクロツーリズム
皆さん、こんにちは。
戦後75年。2020年は節目の年でありながら、なかなか腰を据えて歴史を振り返ることが難しい年だったかもしれません。それでもふと身近なところに考えされられるような機会、場所、きっかけがあったりします。
今回は、2020年8月4日に開館したばかりの埼玉「桶川飛行学校平和祈念館」をご紹介したいと思います。
訪れたのは終戦の日の前の8月13日。なぜこちらの場所を訪れたのかというと、理由はありませんでしたが、自然と足が向いたのかもしれません。
こちらは熊谷陸軍飛行学校桶川分教場として、熊谷市にあった熊谷陸軍飛行学校の分校として1937年(昭和12年)に設置されました。
全国各地から集まった訓練生はここで寝食を共にしながら、陸軍航空兵になるための教育を受け、戦地に向かったそうです。
見学をしていたら、一人で来られていた75歳前後と思われるおじいさまに「写真を撮ってもらえますか」と声をかけられました。話をしていると、このおじいさまのお父様が実際に桶川分教場の訓練生として入校されていたとのこと。
お父様は戦地に行かなかったそうですが、沢山のお仲間が戦争に行かれたそうです。お父様が一生懸命こちらで訓練されていたことをかみしめるような感じで、施設内の展示を見ていらっしゃいました。
平和祈念館には、この学校の訓練生が戦地に行く前に家族や両親につづった手紙も展示されていました。19、20歳の青年がこんなにも達筆な字で、こんなにも清い心で家族を思い、そして国のために捧げる。この青年達だって、もしかしたら今も生きていたかもしれない。つい75年前の話。
様々な犠牲の上で、今の平和や暮らしがあることは忘れてはいけないなと、この手紙を読んでいて思いました。
戦後の桶川分教場は、戦地から引揚げた人達のための市営住宅「若宮寮」として使用され、2007年まで居住者がいたそうです。
2016年から復原整備工事がなされ、8月に平和祈念館として一般公開されるようになったということです。
現在の桶川飛行学校平和祈念館は、静かで穏やかな時間が流れているところでした。
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